昔、むか~しの話です。
1学期が終わり、夏休みにはいるころには、新入部員の半分ほどはいなくなります。
4か月のほとんどが、準備と片付け、球拾い、洗濯の日々ですから当たり前といえば、
そのとおりです。美少年は幸いにも、たくさんの先輩から声をかけてもらったおかげ
でしぶとく続けることができたのです。
とりわけラッキーだったのは、吹奏パレードをしかけた卓球部OBが、特訓をして
くれたことです。夏休みの間、ほとんど毎日、2~3時間の猛特訓です。このOBの
主張は、ボールの打ち方はいくつになっても覚えられる、でもフットワークだけは、
若いうちにしか身につかない。とういうことです。当時はペンホルダーが主流で、バ
ックに来たボールは、回り込んで、フォアハンドで打つのが基本とされていました。
動かずにバックで返すと、~動け、回り込め~とカミナリが落ちたものです。ランニ
ングも、うさぎ跳びもフットワークのためとの位置づけでした。ひと通りの基本打法
の練習のあとは、フットワークの強化が中心です。1時間もやると足がもつれて何回
も転びます。~立て!~、~ハイッ、お願いします~、またすぐよろけてしまいます。
すると、~立て!~、~ハイッ~これの繰り返しです。この特訓に耐えられたことの
ひとつは、長髪の存在です。中学時代にかなりの実績の持ち主ですから、入部したと
きから、上級生を相手の練習をしています。その長髪が、密かな目標でした。
OBが、東京の大学に帰るまでの1か月、この特訓が続きました。お盆が過ぎたこ
ろには、上級生との基本練習の相手ができるようになりました。いま、この年になっ
ても、そこそこに足が動くのは、この特訓のおかげだと思います。
嬉しかったのは練習の帰りにはいつも、学生の行きつけの店で、うどんをごちそう
になりながら、卓球のことに限らず、将来についてのいろいろなアドバイスをもらっ
たことです。
このOBは、2年後の進学のとき、さらにそのずっと後の就職のときに大きな影響
を与えてくれることになります。
続きは次回に。 5月5日 多
1. 無題